ひょっとして…から始まる恋は
後を追ってくる久保田君を振り向き、俺も?と訊ね返した。


「うん、保科教授に会うんだ」

「えっ」


間髪入れず声を発し、ピタッと足を止めてしまう。
合わせて彼も立ち止まり、私は振り向いた状態で指差した。


「ひょっとして…と思うけど、面会希望者って久保田君?」


訊ねると、うん…と首を縦に振る。
唖然としてしまう私に笑いかけ、靖もやるな、と呟いている。


「え、あの、」


戸惑いを隠せない私に、久保田君は歩きながら説明すると言って進みだした。



図書館を出ると久保田君は、先週言ったことを覚えてる?と聞いた。


「俺の発案で新しいプランを手掛けてると言ったろ」


「ああ、そう言えばそうだったね」


凄いと言って褒めたのだ。
本社へ来て三ヶ月程度で新しいプランニングを考えつくなんて優秀だと思った。


「それを話しに来たんだけど」


「叔父のところへ?」


「そう。保科教授が骨量について研究していると聞いてね」


久保田君が考えているプランはどうやら骨量と関係が深いらしい。


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