ひょっとして…から始まる恋は
内容は?と聞いたが、当然明かしてくれることもなく、上手くいけば健康食品部門の立ち上げに繋がるかもしれない…と言っていた。


「でも、俺が目指したのは本来そういうことじゃないんだ」


照れた表情を見せる彼は、動機は不純なんだと笑う。
それに首を傾げると、久保田君は自分の鼻の頭を指先で掻き……


「俺はただ、保科さんに会う為にはどうしたらいいかなと考えてただけなんだ。生活時間も違うし、せめて職場で会えないかと思っただけ」


そこに藤田君から叔父がずっと骨量についての研究していると聞かされた。
それで骨量に特化した食品を作ってみればどうか、と社内で発案したそうなのだ。


「上手くいけば教授の研究にも使って貰えるだろうし、駄目でも君には会えるかなと思った」


不純過ぎる動機を聞かされ、返す言葉もなく久保田君を見つめる。彼はそんな私の眼差しから目を逸らせ、頬をうっすらと赤く染めて笑っている。


「それにしてもどうしてあの図書館にいたの?」


「ああ、それは医局を探してる時に君を見かけて」


声をかけずに驚かそうと思ったらしい。

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