ひょっとして…から始まる恋は
ひょっとして……
『それは恋ね』
テレビの画面から聞こえた言葉にポトンと箸を落っことした。
「何やってるの」
母が拾い上げて水道で洗い、綺麗にしてから戻してくる。
「ごめん、ありがとう」
そう言うと箸を二本揃えて握り直し、目の前にある料理に向かおうとするのだが__。
「柚季?」
母は不思議そうに顔を覗き込み、食べないの?と聞いてきた。
「あ…食べる、食べる」
そう返事して座り直し、少し冷めてしまった料理に箸を付けだした。
「そう言えばさっき兄さんから電話があったよ」
ビールを飲んでいる父が急に言いだし、ぎくっとして視線をそちらに向ける。
「今日大学の方に柚季の同級生がやって来たって」
あちゃー、やっぱり。
頭の中でそう思い、おじさんのお喋り、と非難したくなってくる。
「前に勤めていた会社の人だと言ってたぞ。自分の研究に役立つ商品のセールスに来てくれたんだって」
そうなのか?と訊ねる父に、うん…と目を伏せたまま返事。
「なかなか面白いことを言う奴だったと笑ってたな。柚季ちゃんも隅に置けないとさ」
テレビの画面から聞こえた言葉にポトンと箸を落っことした。
「何やってるの」
母が拾い上げて水道で洗い、綺麗にしてから戻してくる。
「ごめん、ありがとう」
そう言うと箸を二本揃えて握り直し、目の前にある料理に向かおうとするのだが__。
「柚季?」
母は不思議そうに顔を覗き込み、食べないの?と聞いてきた。
「あ…食べる、食べる」
そう返事して座り直し、少し冷めてしまった料理に箸を付けだした。
「そう言えばさっき兄さんから電話があったよ」
ビールを飲んでいる父が急に言いだし、ぎくっとして視線をそちらに向ける。
「今日大学の方に柚季の同級生がやって来たって」
あちゃー、やっぱり。
頭の中でそう思い、おじさんのお喋り、と非難したくなってくる。
「前に勤めていた会社の人だと言ってたぞ。自分の研究に役立つ商品のセールスに来てくれたんだって」
そうなのか?と訊ねる父に、うん…と目を伏せたまま返事。
「なかなか面白いことを言う奴だったと笑ってたな。柚季ちゃんも隅に置けないとさ」