ひょっとして…から始まる恋は

目を閉じて頭に浮かんだことを考えていると急に胸が苦しくなり、ジタバタと手足を動かして暴れる。

その後は急にそれをやめて起き上がり、意味もなくキョロキョロと周囲を見回した。



やっぱりおかしい。


頭の中でそう呟き、手の中にあるスマホを見つめる。

眺めていると昼間のことが蘇ってきそうな気がして、さっさとラインを開いてしまおうとタップした。



『こんばんは』


短い挨拶に同じ言葉を返した。
相手は昼間はどうも、と言葉を繋ぎ、それにいいえ、と短い返事を打ち返す。

その後でいつもなら自分が何か言葉を先に打つのだが、今は頭の中が真っ白で、何も浮かばずに沈黙した。



『保科さん、どうした？』


名前の文字を見るとドキンと心臓が跳ね上がる。
直接呼ばれた訳でもないのに緊張して、何が？と打つ指先が震える。


『なんか元気ないね』


食べ過ぎ？と聞かれ、何でよ…と頭の中で思ったが。


『うん、まあそんなところ。ちょっと胃の辺りがいっぱいで調子悪いの』