ひょっとして…から始まる恋は
本当はそのもう少し上の辺りがおかしいのだけれど、体調が今一つだということにしておきたかった。


『だから…』


今日はこれでやめてもいいかと送ろうとしたのだが。


『大丈夫?薬飲んだ?』


青筋の立つ顔を送ってくる久保田君に、キョトンとして手が止まる。
彼に無駄な心配をかけるのもいけないような気分に変わり、大丈夫…と打ち返した。


『薬飲むほどでもないから平気』

『心配させてごめん』


両手を合わせて謝るスタンプを送った。
下手な嘘を言うものじゃないな、と心の底から反省。



『久保田君はまだ仕事中?』


話題を変えようと思って聞いた。
彼はうん…と短い返事を送ってきて、昼間飲んだコーヒーが美味かったから頑張れる…と付け足してくる。


『俺、保科さんの淹れてくれるコーヒーも飲んでみたかったから感動した』


目から涙が滝のように溢れるスタンプを見て笑い、やっぱり大袈裟、と打ち返す。


『そんなことないよ』

『あれは女神がくれた物と同じくらい価値のあるもの』


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