ひょっとして…から始まる恋は
聞いている側から胸がドキドキと鳴りだし、言わなければ良かったかな…と後悔の念も混じる。

けれど、私から質問された松下さんは、そんな私の胸の高鳴りなんて知らず、何故か仏頂面でうーん…と唸った。


「どうしよっかなー」


表情とは違い、声は明るく戯けている。
三波さんはそれを聞いて呆れ顔で、私はどうするの!?と身を乗り出していた。


「木下先生もまあまあ好みの顔立ちではあるんだけどね」


頭の中に准教授の顔を思い浮かべ、まあイケメンだよね…とも思い出す。

けれど、彼について松下さんが話すのを見たことがないから、やっぱりナシなのかな…と窺った。


「完全眼中になかったって言うかさ、ちょっと驚き過ぎて今はまだ何とも言えない感じなのよね」


その答えを聞きながらどっちか早く決めて…と焦る自分を抑えつつ、そうですか…と返事した。


「付き合っちゃいなさいよ。木下先生はずっと美穂のことを見てたって言ってたじゃないの」


朝の告白現場を見てた三波さんは、堪えきれずに声を発した。松下さんは彼女に現場を見られたものだから恥ずかしさもあるらしく、ほっといてよ、とツレない態度を示す。


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