ひょっとして…から始まる恋は
「でも、美穂が落ち着かないと柚季ちゃんが困るようだから……」


ね?とウインクを送られ、えっ!と大きく目を見開く。


「私が?」


何故…と問いたくなって口を閉め、余計なことを言い返しては駄目だと思った。


「私が落ち着かないと困る?」


松下さんは声を漏らし、じっと私に視線を向ける。
こっちは二人の視線を一気に集め、顔を強張らせて肩を竦めた。



「…はぁーん、そういうことか」


何かを気づいたらしい松下さんは、益々悪戯っぽく、じゃあどうしようかな〜、と声を上げる。

三波さんはそんな彼女にイケズなことを言わないの!と諭し、木下先生ならお似合いよ…と続けた。


「年齢的にも合うじゃない。それに何よりドクターだから年収も安泰よ」


三十代前半だと思われる木下先生と二十八歳の松下さんなら年恰好としては合う。


「それに美穂は二十代のうちに結婚したいんでしょ。年下なんて追ってても、結婚する頃には三十越しちゃってる可能性高いわよ」


分析を繰り返す三波さんに松下さんは苦い表情を浮かべる。


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