ひょっとして…から始まる恋は

「そうだけどぉ」


「それに筆頭秘書としても、仕事はし易い方が助かるわ」


結局自分の為なの？と呆れる松下さんの言葉に笑みを見せ、三波さんは当然でしょ、と言いきった。


「美穂は木下先生と付き合いなさい。彼なら浮気なんてしそうにないから大丈夫」


ニッコリとトドメの言葉を吐き、松下さんはそれを聞いてピクッと顔を引きつらせた。



「……少し考えさせてよ」


顔を曇らせながら松下さんが答えると、三波さんはご自由に…と囁き、私に振り返って微笑んだ。


「柚季ちゃんは美穂に遠慮なんてしなくてもいいからね」


何かを知っているように付け足す。

こっちは背中に冷や汗を覚えながらも、はあ…と頷き、目を伏せて、どうか松下さんが木下先生と付き合いますように…と胸の中で祈っていた。