ひょっとして…から始まる恋は
その日の帰り、三波さんはちょっといい?と私を誘った。


「美穂のことで話があるの」


カフェにでも寄ろうと言う彼女に従い、駅近にあるチェーン店に入る。そこでアイスのカフェラテを頼み、二人で奥にある丸テーブルに腰掛けた。



「昨日来た彼、なんて名前だったっけ」


席に座ると即座に三波さんが聞いてくる。
主婦は時間がないらしくて、ドキンと胸が弾んだけれど何とか表情には出さず、久保田君ですか?と答えた。


「そうそう、久保田さんて言ったわね」


微笑む彼女の理由が分かるようで分からず、困惑気味に首を傾げる。
三波さんはカフェラテを一口ストローで吸い込み、ゴクンと飲み込んでから続けた。


「藤田君とか久保田さんとか、美穂が年下ばかりを追い掛ける理由を知ってる?」


顔を覗き込むように訊ね、私は戸惑いつつも、いいえ…と首を横に振る。


「一緒に飲んだ時に話さなかったの?」


藤田君に失恋した時、松下さんと二人でヤケ酒を飲んだ。
飲んだとは言っても私は松下さんに圧倒されて、全く酔えなかったのだが。



「そうなの……言わなかったんだ……」


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