ひょっとして…から始まる恋は
食事を作るのも面倒だし…と言う彼に、ふーん…と呟き、そうなんだ…と考えていた。


「保科さんはどうして未だに自宅通いなんだ?」


実は高校時代の同級生達とラインで話す機会があり、そこで私が自宅から通っていると聞いたのだそうだ。


「私も藤田君と同じようなもんなの。前の職場は時間外労働が多くて、帰りも遅いと自分で食事を作ったりするのも億劫でついつい…ね」

フフッと笑い合いながら何となく高校時代に戻った様な気がして懐かしかった。

…でも、あの頃は今みたいに話もそんなにしなかった。


藤田君の後ろを半歩くらい下がって歩き、駅に着くと同じ方向に向かう電車に乗り込む。

彼は私とは降りる駅が違う。なのに、同じ駅で降りようとするものだから、不思議に思い振り返った。


「…あ、知り合いがこの界隈に住んでてね」


視線に気づいた彼が寄り道…と笑う。
へぇーと言いながらも知り合いは誰かと問えず、二人で改札を通り抜けた。


私達が通っていた高校は、この駅から徒歩で十五分程度の場所にある。

久し振りに寄ってみる?と話す彼に応じて、二人で高校へ向かって歩き出した。

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