ひょっとして…から始まる恋は
そこへ次々と料理が運ばれてきて、つい美味しくてパクパクと食べて飲んでしまった。


食事中は告白の返事を迫られることもなく談笑した。

彼は先日保科教授のところへ来た男性について、秘書の保科さんと繋がりでもあるのか、と訊ねてきた。


「ああ、なんか同級生らしいですよ、高校時代の」


藤田君も同じ高校だと言うと、へぇーと感心する。
けっこう難関高だよなと話し、彼女は意外にも優秀なんだ…と呟いた。


教授室で彼と保科教授は親しそうに話していたそうだ。
それを聞いて、秘書の保科さんと彼が付き合ってるんじゃないかと彼は思ったみたい。


「教授が彼に『泣かさないでくれよ』と言ってたからね」


その言葉を耳にして、やはりそうか…と確信を深める。
先日彼が来た時にそんな関係になったんじゃないかと思ってたんだ。



「そうなんですか」


詰まらない…と感じながら冷酒を呷る。
言葉少なくなる私を見つめ、木下先生は息を吐いた。



「君はさ」


そう言いかけて黙る彼に視線を向け、何ですか?と問おうとしたが止める。

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