ひょっとして…から始まる恋は
あの日は、自分の誕生日だった。
彼には言わなくても早く帰って来てくれる、と心の何処かで信じてた。


なのに、彼が部屋に戻ってきたのは夜中で、しかも嗅いだことのないボディソープの香りを漂わせてる。


私は怒りを抑えながら、遅かったね…と彼に言った。
何をしてたの?と訊くと、別に…と彼は誤魔化したが、私はその態度にイラつきを覚えた。


「どうせまた浮気してたんでしょ。どうしてそんなに繰り返すの!?」


一緒に暮らしてるのに…と思うと許せなくて。
何の為に一緒に住もうと決めたのか、彼も分かってると思ってたのに。


「ああ?そりゃお前が女に見えないからだろ」


言い放たれた言葉にヒビの入ってたハートが崩れた。

弁解もしない上にその台詞。
ブチッと何かが切れて、思いきりグーで彼の頬を殴っていた。


「あんたなんか大嫌いっ!二度とこの部屋に戻って来るな!バカヤロー!!」


罵声を浴びせて出て行ったのは私の方だ。
行く宛もなく彷徨い、朝方に帰宅すると彼の姿はなくなってた__。

荷物は全部無くなってて、二人の写真やペアの物はゴミ袋に捨てられてあった。

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