ひょっとして…から始まる恋は
それでも自分の誘いには乗ってくる。
少しは期待してもいいのかな…と彼は思ってたそうだけど。


「そうか……浮気ね……」


呟くと唇を噛み、少し怖い表情を見せた。
私は彼の思っていることが読めず、立ち尽くしたままで横顔を見つめる。


そのうち目線を上げた彼が私を見て、さっきと同じ様に「君は…」と呟いた。


「ひょっとして男は誰でも浮気をするもんだと思ってるのか?」


ギクッとする質問に冷や汗を感じ、ゴクン…と唾を飲み込む。
その眼差しは真剣で、下手に嘘を吐いたり誤魔化したりも出来ないと感じた。


「…少なからず、するもんでしょ。誰だって魅力的な女子が好きな筈だし」


自分のように女らしさに欠ける人間よりはいい筈だ。
そう思うとやりきれないが、自信も無くなるほど元カレに傷付けられてきた__。


「君は魅力的じゃない様な言い方だな」


木下先生は話しながら間を詰めてくる。
私は彼が寄ってくる度に足を下げ、なるべく距離を保とうとした。


「逃げるなよ。美穂」


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