ひょっとして…から始まる恋は
「美穂……好きだ……」
熱っぽく囁く彼の声にゾクッとして、離れた唇の隙間から息が漏れ出す。
うっとりとした顔で私のことを見下ろしてる木下先生の眼差しに射抜かれると、非難も出来ないほどに胸の音が鳴り響いた。
「……君の言う通り、口先では何とでも言えるんだろうな。
浮気はしないと念書に書いたとしても、傷付いてる君がそれを見たら、さっきの様に冷めた目をして笑うんだろうなと思うよ。
……でも、これだけは分かってて欲しい。
俺は君の傷ついた心も含めて、全部の君を抱き締めてやりたいと思ってる。声に出したり文字にしたりしない代わりに、毎晩でもいいから君を抱いて、安心させてやりたいと考えてるんだ」
これも綺麗事にしか聞こえないだろうな…と囁く彼の顔は悲しそうで、そんな様子を見てると、自分に自信がないから彼もそんな風に思ってしまうのかな…と反省した……。
「ごめんなさい……」
呟くと涙が零れだす。彼が悪い訳じゃないと分かってるから、余計に悔しくて溢れ返った。
「木下先生のせいじゃ……ないのに……」