ひょっとして…から始まる恋は
花見会の夜に流れてきたメッセージを見ている彼を思い出し、今更ながら何を思ってるんだ…と目を伏せた。


「それじゃあ俺はこれで」


休憩時間はまだ残っているのに椅子から立ち上がる彼に目を向ける。
松下さんは、まだいいじゃないと引き止めるが、午後からはオペもあるので…と断っていた。


「オペもするの?」


整形外科医なのに?と驚いて問えば。


「整形でも外科医だから」


と笑われる。
そりゃそうだよね、と同調する松下さんに、貴女は何を知ってるんですか!?と問いたくなる気持ちを堪え、へぇ…と感心するような声を漏らした。


「それじゃあ、また」


トレイを持って去って行く後ろ姿を見遣りながら、ふぅ…と大きな溜息を吐く松下さん。
ようやく会えたのに…と漏らす声に自分も何処か同調していた。


「そう言えば私、彼がまだ学生の頃に聞いたことがあるのよ。自分にはお兄さんがいて外科医をしている…って」


「えっ、そうなんですか?」


振り向くと三波さんは頷いて。


「柚季ちゃんは同じ高校だったのに聞いたことがないの?」


反対に聞き返された。


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