ひょっとして…から始まる恋は
「…いや、さっき、保科さんがスマホを落としたのを見て思い出したことがあって」


ククク…と可笑しそうに笑いを含むものだから、何事?と首を傾げる。
思い出したことって何?と聞いてもいいのかなと考えていたら、彼の方から教えてくれた。


「うちの兄貴の彼女がね」


そう言いながら、その人は中学校時代の同級生なんだ…と説明した。


「兄貴と出会ったキッカケがスマホにあって」


面白そうに話してくれる内容に聞き入り、終わった後で思わず吹き出してしまった。


「木の根っこに躓いてスマホが破損?それってすっごくショックじゃない?」


膝も擦りむいていたとかで、痛そ〜と同情した。


「俺も最初に話を聞いた時は気の毒だと思ったよ。しかも不幸はそれだけで治らなくて、何だか次々に負傷を重ねてさ」


流石のお兄さんもそれには少し呆れ気味だったとか。
でも、今ではそれが二人の付き合うキッカケになったんだと話していた。


「私、藤田君にお兄さんがいるって今日初めて知った」


三波さんに教えてもらったと話すと、そうなの?と驚かれた。


「高校の頃はそんな話とかしなかったでしょ」


< 35 / 190 >

この作品をシェア

pagetop