ひょっとして…から始まる恋は
私はやっぱりまだ藤田君のことが好きだ。
高校時代よりも今の方が、ずっとずっと好きになっている。
彼には彼女がいるのかもしれないけれど、そんなことも構わないと思うくらいに大きく気持ちが膨らんでいる。
あわよくば彼が自分に振り向いてくれないだろうかと心の何処かで期待している。
さっき聞かされたお兄さん達のように、今日のことがキッカケにはなってくれないだろうか……。
(…バカね、柚季。そんなことある訳ないじゃない……)
直ぐに否定しても彼のことが好きだと思う気持ち消えて行かない。
駄目だと思えば思うほど大きく募り、重い塊となって胸の中に沈んでいった。
(ああ…そうか……)
この間感じた暗い気持ちは恋だったんだ。
想っても無駄だと思うから、どんよりと暗く立ち込めてしまった。
(だけど…)
思うだけなら自由だよね。
藤田君にも誰にも迷惑なんてかけないんだから。
(自分には……?)
そう思うと少し胸が苦しくて痛い。
高校の頃よりも増した気持ちを処理しきれずにいたら、この痛みはどんどん増していくんじゃないだろうか。