ひょっとして…から始まる恋は
だったら胸が痛くても苦しくても、このまま煮えきらない気持ちを抱えていた方がいい。

痛みさえ我慢していれば、ずっと彼と話が出来るのだから。



『それで本当にいいの…?』


頭の中にいる自分に聞かれ、グスッと鼻を鳴らしながら、仕様がない…と呟く。

自分がしようと決めた片思いの結果がどんなでも、こういう風にしか彼を見ていれないのだから。


ぎゅっと手を胸に押し付けたまま、これからも気持ちを吐き出さずにいようと決意する。

私は藤田君が好きだけど、いつか恋が終わるのを待つのだ__。



(恋が終わる…か)


そう思うと、酷くその場で落ち込んだ。
フラついてくる体をなんとか保ち、涙を拭って医局へと帰った……。


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