ひょっとして…から始まる恋は
何だ…と思われたら嫌だな。
だったら聞かずにいた方が賢明かもしれない。


いろいろ迷って結局聞かないことにした。
噂なんて信じてないで、彼と話が出来るこの環境を守りたい…と思った。

 
だけど、そのラインから二週間後、私は彼に思わぬ物を手渡された。




はい…と見せられた封筒に、ビクッと指先が震える。
封筒の口に貼られた金色の扇シールに愕然として、じっと見つめてしまった。


「保科さんも是非出席を」


そう言って差し出された物を拒否する訳にもいかず、私は頷きながら受け取る。

藤田君はそれを見てホッと息を吐き、三波さんや松下さんにも同じ物を配った。


「藤田君、結婚するの?」


三波さんが口火を切り、私と松下さんは彼を見る。
白い頬を赤く染めた彼が恥ずかしそうに、はい…とハッキリ声を出した。


「そんな相手がいたの?」


未だに信じれない様な顔つきの松下さんは、気の抜けた表情で聞いている。

私は彼女と違ってそういう相手がいることを知っていたし、ショックは彼女ほどではないと思うのだけれど。


「ええ、まあ」


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