ひょっとして…から始まる恋は
切なくなりながらもその後の日々を送っていた。
松下さんは日を追うごとに元気を取り戻し、一週間も経つと藤田君のことを忘れたみたいに仕事をしている。


あれだけお酒を飲んで管を巻けば当然か。
自分も同じように飲んで荒れれば忘れたのか。


(ううん、無理だな)


間髪入れずにそう思い返し、片思い歴が違いすぎると納得した。


私は藤田君に会わなかった期間もずっと心の奥底で彼を思い続けていた。
そうすると十六の頃から考えて、ざっと十年以上は片思いをしている。


だから、そんなに簡単に切り替えられる訳がない。例え、引導の様に招待状を配られても__。



五月に入り、招待状の出席に丸を付けるべきかどうかを悩んでいた頃、親友の天音が子供を産んだとライン上に知らせが入った。

私は同級生達と誘い合ってお祝いに駆け付け、赤ちゃんを見せて貰ったり抱っこもさせて貰ったりした。


フニャフニャの女の子は家で飼っているゴロンが子猫だった頃を思わせた。
幸せそうな寝顔で手をぎゅっと握っている。


「助産師さんが言ってたんだけどね」


じっと赤ちゃんを見つめている私に天音がこんな言葉を言い出した。


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