ひょっとして…から始まる恋は
しかも三年の時は同じクラスだったと言う。
そう言えば、久保田君という人がいたっけかな…と記憶の中を探り、そうなんだ…と囁いた。


「あーもう、なんか落ち込む」


大袈裟に嘆いた彼が、全身の力が抜けたようにしゃがみ込む。
折り目のついたズボンの上に上半身を項垂れ、はぁーっと頭を抱え込んで溜息を吐いた。


「高校の頃から俺って、こういうスタンスだよなぁ」


あーあ…ともう一度息を吐き出し、少しの間ジッとしている。

こっちはそろそろこの場所を離れたくなってきて、それにはこの人の側を抜けないといけないと思っていた。



「あのね」


声を出した彼が立ち上がり、きちんと私に向き直る。
さっきよりも少しだけ間を縮め、真っ直ぐと視線を注いだ。


「今から靖の披露宴に行くんだろ。迎えに行ってやれば?と奴に言われたから来たんだけど」


「えっ。藤田君から?」


「うん、俺、君と同じ町に住んでるから近いし、一緒に行けばタクシー代も一台分で済むだろうって言われて」


間もなくタクシーが迎えに来るから一緒に行こうと言いだす。

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