ひょっとして…から始まる恋は
四月九日の朝、ニュースで今日から新学期が始まりますね…と局アナが喋っていた。
私が医局で勤め始めた頃は三部咲きだった桜も十日足らずで八分咲きまで開き、その花が咲き誇るキャンパス内でも朝から入学式の準備が行われている。
そんな中、未だに秘書の仕事に慣れてない私はスケジュール帳を片手に歩き、教授を務める叔父の予定を確認していた。
「えーと、今日は午前中に入学式に出席して、午後からは学会に出席。医局に来たら来賓のリボンを胸に付けて、それから式の流れを書いたパンフレットを手渡して……」
医局で入学式に出席するのは叔父の保科と准教の橘先生だけ。残りの先生達は講義もまだ始まらないから…と言い、個々の研究をしたり論文を書くと話していた。
「ねえ、今年の卒業生代表の挨拶は誰がするの?」
医局に着くと、私よりも二つ年上だと言っていた先輩秘書の松下さんが三波さんに向いて聞いた。
「知らないの?今年は整形が担当だからって、年度末に事務局がバタバタして決めたじゃない」
彼よ彼、と視線が秘書室の奥にある教授室へと注がれる。
私が医局で勤め始めた頃は三部咲きだった桜も十日足らずで八分咲きまで開き、その花が咲き誇るキャンパス内でも朝から入学式の準備が行われている。
そんな中、未だに秘書の仕事に慣れてない私はスケジュール帳を片手に歩き、教授を務める叔父の予定を確認していた。
「えーと、今日は午前中に入学式に出席して、午後からは学会に出席。医局に来たら来賓のリボンを胸に付けて、それから式の流れを書いたパンフレットを手渡して……」
医局で入学式に出席するのは叔父の保科と准教の橘先生だけ。残りの先生達は講義もまだ始まらないから…と言い、個々の研究をしたり論文を書くと話していた。
「ねえ、今年の卒業生代表の挨拶は誰がするの?」
医局に着くと、私よりも二つ年上だと言っていた先輩秘書の松下さんが三波さんに向いて聞いた。
「知らないの?今年は整形が担当だからって、年度末に事務局がバタバタして決めたじゃない」
彼よ彼、と視線が秘書室の奥にある教授室へと注がれる。