ひょっとして…から始まる恋は
「そういうところも変わってないね。靖が言ってた通りだ」


ニコッと笑う久保田君の視線は私から前に移る。
こっちは視線を外されて少しホッとし、小さな息を吐き出した。


「……四月に靖から連絡があった時は驚いたんだ。自分の職場に君がいると言ってきて」


車窓を眺めながら言われた言葉に、大学の入学式の日に藤田君と再会をしたことを思い出した。


「羨ましいだろ~といきなりラインに入ってきたから、コノヤロー!と送り返した」


プハッと呆れるように吹き出す彼は、それで本社にいなかったんだね…と呟く。


「あの…実は叔父が大学病院の教授で…」


「うん、聞いてる。靖と同じ整形外科医なんだろ」


久保田君は何でも藤田君から聞いてる様な言い方で、偶然ってあるんだなと驚いていた。


「…俺、奴から君のことをいろいろと聞けて嬉しくて。高校の頃とあまり変わらないよ、と聞いたら無性に会いたくなってさ」


「えっ」


「高校時代、君のことずっと好きで見てたから。だから、靖が君の近くにいれて羨ましかった」


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