ひょっとして…から始まる恋は
その目に気づいた久保田君は表情を引き締め、少し躊躇うように言葉を続けた。


「靖にはもう決まった相手がいたから。どんなに思っても届かない相手に恋をするのは辛いだろ」


私の気持ちを知っているような言葉に目を見張り、沈黙したままで彼を見る。

久保田君はそんな私を確認すると唇を締め直し、それが開かれた後で飛び出す言葉が気にかかって、私は彼のことをじっと見据えていた。



「保科さんは靖が結婚する相手のことを何か聞いてる？」


久保田君の言葉にドキッと胸が揺さぶられる。
ライン上で目にしたことが頭に浮かび、曖昧ながらも頷いた。


「藤田君の…お兄さんの元カノだって聞いたけど……」


今でも信じられない内容を口にして、本当だろうかと久保田君を窺う。
彼は一瞬だけ目を見開き、でも、直ぐに顔を曇らせて目を伏せた。


（……えっ…まさか本当……？）


ドクン…と嫌な心音がして、言わなければ良かった…と思う気持ちが押し迫ってくる。
どうして私はそんなことを口走ったのだろうかと反省し、きゅっと肩を竦めた。

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