ひょっとして…から始まる恋は
こっちは何だか聞きたいことを後回しにされた様な気分で眉間に皺を寄せ、納得のいかない気持ちのままで車外へと出た。

ホテルのロータリーには、次々とタクシーが到着している。

どの車からもきちんと正装した人達が出てきて、藤田君達以外にも結婚式や披露宴があるのだろうなと思われた。



「ごめん、待たせて」


車外へと出てきた久保田君に声をかけられ、私は振り返って彼を見る。

いえ、と返事をするとさっと肩に手を回され、そのまま中へ入ろうとするものだから慌てた。



「く、久保田君」


ドギマギしながら名前を呼ぶと、彼は上から私を見下ろしてくる。
こっちはその眼差しを見ると胸が鳴り、あの…と言ったまま閉口した。


「人が多いから気をつけて」


そう言うと視線を外して歩き出す。
私が誰かにぶつかったりしない様に気遣ってくれたのだと分かり、それには感謝をしないといけないと思うのだが。


(それなら先に言って欲しいと言うか…)


男性に慣れてないのを棚に上げ、ドキドキと胸を弾ませながらロビーへと向かう。

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