ひょっとして…から始まる恋は
「……じゃあ…聞かせて下さい」
じっと久保田君のことを見つめて願った。
彼は小さく頷くと、モニターを見ながらでいいよ…と言った。
その言葉通りに目線をモニターに変える。
新婦と父親は既に祭壇に近づいていて、父親が藤田君に娘を宜しくと言っている場面だった。
その姿を見つめながら、久保田君が静かに語りだした。
「靖の彼女…もう奥さんになるけど」
父親から彼女を渡された藤田君は、彼女に腕を伸ばし、新婦はその腕に指先を通す。
彼女に腕を取られた藤田君は微笑み返して、揃って祭壇へと向いて歩きだした。
「俺が靖に聞いた限りでは、二人は幼い頃からの知り合いで、ほぼ幼馴染みたいにして育ったそうなんだ」
祭壇の前に並んで立つ二人。
神父様は微笑みを浮かべ、流暢な英語で名前を呼んだ。
「靖にとって、彼女は可愛い妹みたいなもんだと高校の頃は言っていた。あいつのこと、小さな時から「やっちゃん」って言ながら寄ってくるみたいで、たまにウザいこともあると言ってたな」