ひょっとして…から始まる恋は
だけど、今度は靖がそれに焦りを感じだして、まだまだ医大に入ったばかりで何の知識も持たない自分と彼を比べだした」
私はその言葉を聞いて大学時代の彼の話を思い出していた。
お兄さんにライバル心を燃やし、負けたくないと語っていたことを。
「俺はそんなことに焦りを感じる必要はないんじゃないかと言ったんだ。知識も経験もこれから積めばいいだけのことじゃないか、と。
だけど、靖はそれでは遅いと思っているみたいで、どうしてなんだと聞いたら不満そうな顔でこう言った……」
久保田君の話が気になり過ぎて、目線は彼に奪われていた。
彼もそんな私に気づいたらしく、振り向いて目を合わせてきた。
「『英里紗が俺から離れていくのが嫌だ』と。
俺がどういう意味だと問い質したら、親同士が勝手に二人の縁談を組もうとしていると言って、奴はそれが気に入らなくて、かなりショックを受けてたんだ」
勝手だろ、と久保田君は呆れながら笑う。
私はその言葉を聞いて大学時代の彼の話を思い出していた。
お兄さんにライバル心を燃やし、負けたくないと語っていたことを。
「俺はそんなことに焦りを感じる必要はないんじゃないかと言ったんだ。知識も経験もこれから積めばいいだけのことじゃないか、と。
だけど、靖はそれでは遅いと思っているみたいで、どうしてなんだと聞いたら不満そうな顔でこう言った……」
久保田君の話が気になり過ぎて、目線は彼に奪われていた。
彼もそんな私に気づいたらしく、振り向いて目を合わせてきた。
「『英里紗が俺から離れていくのが嫌だ』と。
俺がどういう意味だと問い質したら、親同士が勝手に二人の縁談を組もうとしていると言って、奴はそれが気に入らなくて、かなりショックを受けてたんだ」
勝手だろ、と久保田君は呆れながら笑う。