ひょっとして…から始まる恋は
いろんな子と一緒にいるのを見たけれど、彼にとって特別なのはきっと彼女だけで、他の人は道端に転ぶ石コロと同じ存在。
勿論私も同類で、石どころか草程度にしか思われてなかったかもしれない。
彼にとって輝きを放つ宝石は一つだけで、それを心の奥底にずっと隠し持っていた。
そんな風に密かに思っていた相手が兄に奪われる危機。
もしも、縁談が纏まってしまったら、夫婦として寄り添う姿をずっと見つめ続けていかなければいけない。
そんなこと、彼はきっと嫌で堪らなかった。
兄に奪われるくらいなら、自分が彼に負けないくらいの医師になろうと決めた。
それで学生時代から十分優秀な生徒だったのに、それ以上に努力を重ねようとした。
勿論それは今も同じで、だからこそ彼は外来に勤務している___。
ストン…と全ての理由が納得でき、私はシュンと肩を落とす。
藤田君の中に自分が入れる隙間もなかったことを知り、改めてきちんと理解した……。
「保科さんが耳にした噂は、多分その縁談が湧いた頃に流れたものだと思うよ。
勿論私も同類で、石どころか草程度にしか思われてなかったかもしれない。
彼にとって輝きを放つ宝石は一つだけで、それを心の奥底にずっと隠し持っていた。
そんな風に密かに思っていた相手が兄に奪われる危機。
もしも、縁談が纏まってしまったら、夫婦として寄り添う姿をずっと見つめ続けていかなければいけない。
そんなこと、彼はきっと嫌で堪らなかった。
兄に奪われるくらいなら、自分が彼に負けないくらいの医師になろうと決めた。
それで学生時代から十分優秀な生徒だったのに、それ以上に努力を重ねようとした。
勿論それは今も同じで、だからこそ彼は外来に勤務している___。
ストン…と全ての理由が納得でき、私はシュンと肩を落とす。
藤田君の中に自分が入れる隙間もなかったことを知り、改めてきちんと理解した……。
「保科さんが耳にした噂は、多分その縁談が湧いた頃に流れたものだと思うよ。