ひょっとして…から始まる恋は
その代わり、間違っても手を出すなよ…とメッセージを後付けで送ったと笑う。

あの夜に流れてきたものがそれだったんだと分かり、私は黙って久保田君を見上げる。


「恥ずかしい限りだけど、雨宿りの件は嫉妬した。

あいつが君の髪の毛に付いた水滴を拭いてやったと言った時にはムッとして、思わず靖を殴りそうになったよ。


俺が代わりに拭いてやりたかった…と悔しくて仕様がなかった。
家族の話も飼い猫の話も俺が一番に聞きたかった。


あんな悔しい思いをするくらいなら、今日この場で君にフラれた方がマシだ。

それくらい俺はもう二度と他の男を君に近づけたくないと思ってる。


高校時代には見ることしか出来なかった俺だけど、これからは君の隣に自分が立っていたいんだ」


懸命な眼差しを送られ、焦るような気持ちに変わる。

久保田君の気持ちは有難いと思う。けれど、自分は今やっと前を向き始めたところで__。



「ありがとう。久保田君…」


そう言ってくれて感謝している。
胸を貸して泣かせてくれたことも、花見会の夜に藤田君との思い出を作ってくれたことも全部嬉しい。



「だけどね…」


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