花に美少年
「もやもやって?」
顔を上げると、真奈美が優しい目で私を見ていた。
「芽衣子はわかりやすくて飽きないな」
「何それ?」
「ねえ、聞いてもいい?」
「ん?」
玄関でパンプスを履き終えた私は、真奈美と向き合う。
「その彼がね、高校生じゃなかったらどうしてた?」
「・・・え?」
「例えば年下でもなくて、同い年や年上だったら?年齢の問題がなければ、芽衣子はあと何日、彼の部屋にいた?」
「そんなの・・・変わらないよ」
「そう?」
「当たり前でしょう?」
本当はドキッとした。
「ふーん」
心臓が、たしかに鳴った。
だから少しだけ、このもやもやの原因がわかった気がした。
あんな風に誰かに口説かれたのは初めてだった。
「芽衣子ってモテるでしょ?」
それは中学のころから友達が出来る度に聞かれた言葉。
だけどその度に首を横に振る私に、周りは信じられないと文句を言う。