花に美少年

ああ、もうやだ。
本当にやだ。
こんなのおかしい!
何がって、私がおかしい!!
だって!!

「あ、芽衣子先輩お疲れ様です」

「お、お疲れ」

「・・・どうしました?」

「え!?」

「顔、真っ赤ですよ?」

「な、何でもない!」

後輩の言葉に慌てて返事をして、受付の奥に逃げ込んだ。
だって恥ずかしいにも程がある。

「・・・居るわけないよ、バカ」

振り返った姿は、少しも似ていなかった。
たぶん冷静に見れば、制服だって似ているだけで違うだろうし、ただ少しだけ、背格好が似ていただけなのに。

「・・・もう、やだ」

私、何を期待したの?
心臓がどこまでも煩くなる。

ほんの数日の出来事なのに、言い訳出来ないくらいに変わっている自分がいる。
最低な元カレのことで落ち込んでいたはずなのに。
思い出すのは、上手くいっていると思っていた同棲生活の記憶だったのに。その度に、悲しさと悔しさに負けそうになっていたはずなのに。
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