花に美少年
研修先の福岡で調子に乗って買い過ぎたお土産が憎い。
クレジットカードは先月に真奈美と行ったハワイ旅行で遣い過ぎて、今は遣えないし、銀行にだって残っているお金は多寡が知れている。だいたい、この部屋の家賃だって、半分以上私が払ってるんだけど!?
最悪だ。最悪だ。
給料日まであと何日?

「・・・一週間」

それまでホテル生活ってこと?そんなお金どこにあるのよ?それに給料が入ったからって、新しく部屋を契約するお金なんてないし!

「本当にありえない」

頭上に落ちてきた真っ白な粒に、また泣きたくなった。
二月の夜空から降りだした雪が、私と段ボールを濡らしていく。
もしかしたら、私このまま凍死するのかもしれない。
生まれて初めて、自分の未来を予測出来た気がした。

「おねーさん」

ほらね、遂に天使が私を呼びに来た。
て、そんなお伽噺みたいなことが起こるわけもないから、私は雪を降らす空から視線を落として、コンクリートの地面に溜息を吐いた。

「おねーさん」

誰か知らないけれど、さっさと返事してあげればいいのに。
< 11 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop