花に美少年
6day
「・・・疲れた」
夜勤を終えて病院を出ると、いつも以上に疲れているのを感じる。もちろん仕事に集中しているけれど、少しの間が出来ると頭が勝手に考え始めてしまう。忘れようと言い聞かせるほどに、余計なことまで思い出す。
部屋に置かれていたCDとか、いい香りのする石鹸とか、朝見た寝癖とか。とにかく結児君に関わることを、どうでもいいことばかりどんどんと。自分を追い詰めるみたいに。
駅に着き、真奈美に今から行くとメールを打つ。
とりあえず寝よう。そうしたら少しはスッキリするかも。それから家を見に行って、早く次のスタートを切ろう。
だってほら、明日は給料日だもん。
1週間なんて、あっと言う間だ。
「ない!」
「何?」
「え、なんで?」
「だから何がよ?」
昨日来たばかりの同僚の部屋に着いて早々、スーツケースの中を漁る私を、ソファに座り髪をセットする真奈美が振り返り見る。
「充電器!絶対ちゃんと持ってきたはずなのに」
もう一度ポーチの中も確認するけれど、やっぱり見当たらない。昨日から充電していなかったせいで、もう電池が10%を切っているのに、肝心の充電器が見つからない。