花に美少年

「忘れてきたんじゃない?」

「え?」

「男子高校生の部屋に」

「そんなはずない!絶対に入れたもん!」

「でもないんでしょう?」

「それは・・・」

「使う?」

「使う」

差し出された充電器に素直に手を伸ばす。
絶対に持ってきたと思ったのに。
起きてすぐにコンセントから抜いたのは覚えているのに。

「どうするの?」

「ん?」

「取りに行くの?」

「・・・買うからいい」

忘れ物したからと言って会いに行けるわけないよ。
だってほら、結児君のことだから、返して欲しかったら一泊してとか言われそうだし、昨日はどこに居たのか聞かれたら、職場がバレる可能性もあるもん。

「取りに行きなさいよ」

「・・・え」

「だって彼も迷惑でしょう?そんな置き土産されても。余計に芽衣子への未練が残るわよ」
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