花に美少年
「そんな、」
「あーあ、可哀想・・・ってことで私は仕事に行くから」
準備を終えた真奈美が立ち上がり、悪戯な視線を向けてくる。それに続いて不満顔で立ち上がった私は、玄関まで家主を見送りに行く。
「鍵返すの明日でいい?」
「うん。1時には兄が迎えに来るから、部屋探し頑張ってね」
「真奈美、色々ありがとう」
「良い報告、期待してるからね」
「良い報告って」
「年下の、男の子~♪」
「もう!古いから!いってらっしゃい!」
鼻歌交じりの真奈美を送り出してから、疲れ切った身体を布団に預けた。
どうしよう・・・充電器。
「最初に見た部屋、明後日には入れそうだけれど、どうする?」
昼間から始まった部屋探しは、気づけば夕方になっていた。
真奈美のお兄さんが紹介してくれた物件はどれも良かったけれど、その中でも一番気に入ったのは最初に見に行った部屋だった。