花に美少年

どうしよう。
私は、どうしたいのだろう。

「ここでいいの?用事済むまで待っていようか?」

車で走って20分程、すっかり見慣れてしまったアパートの前に着いた。

「いえ。大丈夫です。本当にありがとうございます」

「どういたしまして」

「明日仕事の前に一度伺います」

「了解。わからないことがあれば連絡して」

「はい。ありがとうございます」

車を降りた私に、お兄さんは「おやすみ」と声を掛けてから、雨の中に消えて行った。

「・・・はあ、」

一人きりになったアパートの前で、私は小さな溜息を吐く。

充電器を受け取ったらすぐに帰ろう。
部屋には上がらないようにしよう。
それから・・・

「めいちゃん?」

これからのことを考えていた私の耳に、その声が飛び込んできた。
驚いて振り返ると、コンビニの袋を手にした結児君が、傘をさして立っていた。

「めいちゃん、何してるの?」
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