花に美少年
「私、先にお風呂借りてもいい?」
「うん、いいよ。疲れた?」
「・・・疲れた」
「めいちゃんってさ、」
「何?」
「俺のこと好きだよね」
「・・・は!?」
ソファに座る私を見上げる男の目は、やっぱり少し垂目で、何故か色気がある。
「たぶん、まだ少しだろうけど」
「何勝手なこと言ってるの?バカみたい」
「もうすぐ落ちそう?」
「落ちません!」
熱くなる頬を見られたくなくて、私は急いでリビングを出て、お風呂場へと向かった。
さっきは弱気なことを言っていたのに、急にあんな発言をしてくるなんて。
考えれば考えるほど、顔を合わせるのが気まずくなる。
赤く染まる肌が、シャワーのせいなのかもわからない。
万が一この気持ちの正体が「好き」だとしても、それを言葉に出来るほど、私はまだ結児君のことを知らない。
その言葉がどこまで本気なのかも、正直わからない。
もう、恋をして傷つくのは嫌だ。