花に美少年

「めいちゃん、もう寝るの?」

お風呂を出て早々にロフトに上り布団を敷いた私を、結児君が下から見上げる。
初日こそ気にしたスッピンも、今は抵抗なく見せてしまう。

「明日は仕事の前に不動産屋に行くから、もう寝たいの」

「でも、まだ9時半だよ?」

「別にいいでしょう?」

「俺が風呂出るまで待っててよ」

「は?」

「一緒にDVD観よう?」

「観ない!」

「今日は映画じゃなくてお笑いのだから、そんなに長くないよ?」

「私はもう寝るから一人で観て」

「・・・」

「な、何よ?」

「とにかく、俺が戻ってくるまで寝るの禁止ね!」

不満そうに顔を顰めてそう言うと、結児君はさっさと部屋を出て行った。こういうところは相変わらず強引だ。
だけどその言葉に素直に待ってしまう自分もどうかと思う。
そして待つこと20分。ドライヤーの音が消えた直後、結児君は戻って来た。

「めいちゃん、お待たせ」

「お待たせって、え、何?」
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