花に美少年
身体を起こしてロフトから顔を出すと、結児君を見つける前に部屋の電気が消えてしまった。
それに驚いて、布団の上に置いた携帯に手を伸ばすと、ロフトに繋がる梯子が軋む音がした。
「え、待って」
「一緒に観るって言ったよね?」
振り返ると、シャンプーの匂いを纏った男と目が合った。
ロフトの上にDVDを観る為のプレイヤーを置いた彼は、また下へと戻って、今度は布団を抱えて現れた。
「もしかして、ここで観る気?」
「そうだよ?」
当たり前のように私の布団の隣に自分用の掛け布団を置くと、持ってきたポータブルプレイヤーを枕元にセットする。
「何考えてるの?」
「面白いから」
「面白い?」
「うん。だから一緒に観たい」
「私、もう寝るつもりで」
「眠くなったら止めるから」
「でもだからって、なんで結児君まで布団?」
DVDを観ることよりも、そっちの方が問題だ。
なのに結児君は、何も不思議ではないと言いたげな表情で言葉を続ける。
「寒いから。めいちゃん、もう少しそっちに寄ってよ?」