花に美少年
「寄るって」
「掛け布団しかないから。敷き布団半分わけて?」
「や、やだよ!」
「でもそれ俺の布団だよ?」
「なっ!!」
それを言われると、反論なんて出来ないわけで。
「掛け布団持ってきただけ褒めて?」
そう言って距離を詰める結児君を無言で睨んだ。
それからは本当にただ二人でお笑いのDVDを観た。
結児君はあまり声を上げて笑うタイプではないらしくて、たまにフッと口元を緩めて笑っていた。
時々自分の好きな芸人さんの話を私にしてくれた。
勤務が不規則な分、決まったテレビを観ることがないから、流行りの芸人さんとかをあまり知らない私に、結児君は目を丸くして驚いたりもした。
でもそれは不快な感じではなくて、知らないと言った私に結児君は嬉しそうに説明をしてくれた。
だけどそれも一時間が過ぎるとさすがに眠くなる。
だって今日は、部屋探しで動き回ったんだもん。
さっきまで画面を観ていた顔はもう、枕に埋まっている。
「めいちゃん、眠い?」
「・・・ん、眠い」
結児君の柔らかな声が遠くに聞こえる。
でも実際はすごく近くにいることを、その体温で感じる。