花に美少年
キッチンに入る私の後ろを、結児君がついて来る。
それが何だか、くすぐったい。
「めいちゃんの髪って、真っ直ぐで綺麗だね」
コーヒーを淹れる私の髪を、結児君が当たり前のように指先で遊ぶ。
「羨ましい」
「・・・直毛過ぎるのも不便だよ」
「そうなの?」
「うん。巻いてもすぐに戻っちゃう」
「じゃあ、俺と反対だね?」
「反対?」
マグカップを片手に振り返る。
「うん。俺は天パだから、頑張ってもクルクルにしかならない」
そう言って目を細めて笑った結児君のふわふわの髪が揺れた。
「お洒落パーマかと思ってた」
「何それ?」
「生意気な高校生だなって」
コーヒーに口につけながら答えた私に、結児君がケラケラと笑う。
「お洒落に見えたなら、毎朝頑張ってる甲斐がある」
「頑張ってるの?」
「めいちゃんには格好良いとこ見せたいからね」