花に美少年
「・・・私?」
「うん。寝起きは酷い時は爆発してるから、めいちゃんが起きてくる前に確認してる」
そういう何気ない言葉ですら、今の私には凶器らしい。
「そんなこと頑張らなくてもいいのに」
「ん?」
「私なんて毎朝スッピン見られてる」
「めいちゃんは可愛いから問題ないよ」
朝から、糖分高いな。
「結児君も十分格好良いでしょう?」
気を張っていたいのに、溶けそう。
「めいちゃん」
「何?」
整った顔が、僅かに距離を詰める。
「そういうこと言うと、ちゅーするよ?」
その言葉と一緒に近づいて来る顔を見ながら、ゆっくりと瞼を閉じたことに、意味なんてない。
意味なんて持てないくらいに、無意識だったんだ。
まるでそれが当然の行為のように、まだ眠たさの残る私の脳は、ゆっくりと速度を上げながら、目の前の男に浸食された。