花に美少年

「ずるい?」

拗ねたのか私を見ようとしない結児君の前にしゃがみ込むと、その耳はまだ赤かった。

「今、俺とキスしようとしたんだよ?わかってる?」

チラリと私を見た結児君の視線に、自分の行動が一気に現実味を帯びて体温が上がる。

「だって、結児君がするって」

「拒否られると思ったんだよ。いつもみたいに抓ってくれないと困る」

どこまでも勝手な言い分に腹が立ちそうなのに、何故だかそんな気分にもならない。

「だったら、変な冗談言わないでよ」

ただ心臓が煩くて仕方ない。

「・・・て言うか、そろそろ学校行かなくていいの?」

こっちを見てくれない結児君の天パの髪に手を伸ばした。
触ったら、柔らかそうな髪・・・そう思って伸ばした手が突然掴まれた。逸らされていた視線が重なった。

「結児君?」

「・・・冗談じゃないから」

「え?」

その言葉に首を傾げた瞬間、

「俺だって、男だよ」

「わっ、え、待っ・・・」

今まで知らなかった力で身体を引き寄せられたと同時に、冷たかった唇に今度こそ熱が触れた。
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