花に美少年

「・・・んっ」

触れた熱は、すぐに離れていく。

「めいちゃん、」

ただその綺麗な顔が目の前にある。

「な、何?」

たぶん私今、この男とキスをした。

「やっぱり早くめいちゃんが欲しい」

「へ?」

握られた右手が熱い。
狭いキッチンに座り込む私の背中に、その手が触れる。

「全然足りない」

「あ、あの、」

「もっと、したい」

「ゆい、んんっ」

いつも甘い瞳が、一瞬の鋭さを見せた直後、唇がまた重なる。それは息をする間もないくらいのキスだった。

離れたと思ったら、逃がさないようにまた塞がれて。
息をする隙に、舌を捻じ込まれた。
いとも簡単に絡め取られた舌が、恥ずかしい音を立てる。

一体こんなキスどこで覚えたんだとか、本当にこれが高校生なのかとか、思うことは沢山あったけれど、そんなことを考える余裕はどんどん奪われて、気づいた時には床の上に押し倒されていた。
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