花に美少年
「じゃあ、どういうつもり?」
真奈美の問いかけに、今朝の出来事を思い出す。
それだけで体温が上昇するのがわかる。
いつまでも気づかないフリが出来ないことは、自分が一番わかっている。
「芽衣子?」
「・・・私、つい数日前に彼氏にフラれたんだよ?」
「ああ、うん。そんなこともあったわね」
「なんか、都合が良すぎない?」
「どういう意味?」
「・・・結児君の気持ち、利用してるみたい」
昨日も今日も思い浮かぶのは、半年も同棲した男ではなくて、たった数日を一緒に過ごしただけの男の顔。
結児君の甘くて柔らかい笑顔。
「芽衣子はさ、100%を求め過ぎなんだよ」
「へ?」
顔を上げると、制服に着替え終えた真奈美が髪を纏めながら私をチラリと見た。
「好きって気持ちの大きさや、好きになっていく速度なんて人それぞれなんだから、無理にその高校生と同じになろうとすることないでしょう?今はまだ高校生の気持ちに比べたら小さい感情かもしれないけれど、確実に芽衣子の気持ちの中に彼がいて、その想いが僅かでも成長しているなら、それでいいんじゃない?」