花に美少年

あ、でも若い子と差をつけるために肉じゃがってアリなのかも・・・って、何を考えているのだろう、私。
差をつけるって、いったい誰をライバル視しているのか。

「・・・帰ったら、連絡先を聞いてみよう」

タイムセール目当てのお客さんで賑わうスーパーで、私は肉じゃがの具材をカゴに入れた。

本当に私は単純だ。
単純で、大事なことをすぐに忘れて浮かれてしまう。
人生は過酷で、どれだけ前向きになっていても、突然大きな穴に落とされる時があることを、私はすっかり忘れてしまっていた。

「おかえり、めいちゃん」

「ただいま。遅くなってごめんね」


「ううん。でも、待ちくたびれた」

「じゃあ、すぐ作るね」

どれだけ真面目に生きていても、どれだけ正直に生きていても、突然どこからともなく災いは降りかかる。

「何作るの?」

「・・・肉じゃが」

「本当?俺、肉じゃがも好物だよ」

「美味しいかはわかんないけどね」

「うん。絶対美味しい」

「急いで作るから、向こうで待ってて」

だけどその避け方を知らない私は、いつもいつも起きた後に気づくのだ。
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