花に美少年
納得出来るなら、なんでもいいとすら思えた。
なのに・・・
「“あいちゃん”は男なんだ」
結児君は、ありえない言い訳をしてきた。
「・・・は?」
「というか、弟なんだよね」
「おとうと?」
「そう。だから誤解されるようなことは一つもなくて、俺はちゃんとめいちゃん一筋だから」
言葉と一緒に、その腕が私を包んだ。
それに抵抗しなかったのは、あまりにもお粗末な言い訳に、呆気にとられたからだ。
赤いマグカップのくせに。ピンクの歯ブラシのくせに。
ベッドが乱れて、シャワーまで浴びているくせに。
ドーナツだってどうせ、その“あいちゃん”が持ってきたんでしょう?
それなのに、男って何?弟って何?
“あいちゃん”って言ったくせに!
愛情たっぷりの声で“あいちゃん”って言いたくせに!!
「ば、ばかに、しないで」
「めいちゃん?」
「バカにしないでよ!!!」
勢いよくその腕から抜け出した私を、結児君は目を丸くして見た。