花に美少年

納得出来るなら、なんでもいいとすら思えた。
なのに・・・

「“あいちゃん”は男なんだ」

結児君は、ありえない言い訳をしてきた。

「・・・は?」

「というか、弟なんだよね」

「おとうと?」

「そう。だから誤解されるようなことは一つもなくて、俺はちゃんとめいちゃん一筋だから」

言葉と一緒に、その腕が私を包んだ。
それに抵抗しなかったのは、あまりにもお粗末な言い訳に、呆気にとられたからだ。

赤いマグカップのくせに。ピンクの歯ブラシのくせに。
ベッドが乱れて、シャワーまで浴びているくせに。
ドーナツだってどうせ、その“あいちゃん”が持ってきたんでしょう?
それなのに、男って何?弟って何?

“あいちゃん”って言ったくせに!
愛情たっぷりの声で“あいちゃん”って言いたくせに!!

「ば、ばかに、しないで」

「めいちゃん?」

「バカにしないでよ!!!」

勢いよくその腕から抜け出した私を、結児君は目を丸くして見た。
< 144 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop