花に美少年
「それは、」
「だいたい、人のこと散々年下だからって相手にしてなかったけど、めいちゃんのどこが大人なの?」
目の前に立った結児君が、私を見下ろした。
「自分だけ傷ついたような顔してるけど、さっきから俺のこと傷つけてるって気づいてる?」
「・・・え」
「めいちゃんが昨日俺の所に帰って来てくれた時、やっと信用してもらえた気がしてすごく嬉しかったんだけど」
その整った顔が、悲しそうに苦しそうに歪んだ。
だから自分のしてしまったことに、漸く気づいた。
「俺、全然信用されてなかったんだね」
「あ、ちが、」
「てか、信用してない男の部屋に平気で泊まって、キスする女とかこっちが無理だから」
流れていた涙が、止まった。
「結児君、」
「帰りたいなら、さっさと出ていけば?」
涙が、流れてもくれなかった。
「それでまた、どうしようもない男に騙されれば?」
「・・・っ」
何も言えない私に、結児君が背中を向けた。
それがこの7日間の終わりだった。