花に美少年
「お姉さんって天気予報とか見ないの?」
「天気予報?」
「うん。だって今日大雪予報だよ」
段ボールを三つも抱えた男が、空を見上げた。
「そうなの?」
「だからお姉さんが凍死する確率、結構高かったと思う」
「え、」
スーツケースを引きながら、もう片手には福岡のお土産の入った袋を持った私を、前を歩く男が振り返り見る。
「冗談です」
「・・・は?」
「ごめんね?怒った?」
「怒ってないけど、冗談に聞こえなくて嫌」
「そっか。でも本当に冗談だから許して?」
「・・・」
「だって、お姉さん息してるでしょ?」
「え?」
「俺が迎えに行くから、お姉さんは死なないよ」
「意味がわかんない」
「うん。そういう運命」
嘘みたいに整った顔から繰り出される笑みに、やっぱりただのナンパ男だと思った。
「偶然通りかかっただけのくせに」
「あはは、お姉さん意外と厳しね」