花に美少年
生まれた想いが、水のようにキラキラと揺れた。


「ナース服じゃない」

結児君が目を覚ましたのは、3時間後のことだった。
随分とすっきりした顔で私を見た彼は、心底不満そうに言葉を吐いた。

「それ、そんなにこだわるところ?」

「こだわるよ」

ベッドから降りてトイレに向かう結児君に合わせて、食事の準備をする為に私も立ち上がる。

「うどんでいい?」

「うん。なんかお腹空いた」

だいぶ元気になったらしい結児君が、そう言ってお腹に手を当てる

「ちょっと待ってて。すぐに用意するから」

食べやすいように、うどんは柔らかめに茹でてみた。
これを食べて、少しでも元気になってくれたらいい。

「食べられる?」

「うん。大丈夫」

テーブルの前に座り込み、結児君が箸を掴む。

「無理しないでね?残してもいいから」

「ありがとう」

まだ鼻声の結児君が、音を立てながらうどんを啜る。

「・・・美味しい」
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